「想定外をなくす」ために、日々の備えを見直す
4月23日、月例研修として感染症研修を実施しました。
今回は、感染症委員会のこれまでの取り組みを振り返りながら、
- BCP(業務継続計画)の考え方
- 現場での感染対策の実際
- 訓練を通じて見えてきた課題
- これから迎える夏に向けた熱中症対策
について共有が行われました。

「想定外をなくす」ことが、在宅医療の責任
今回の研修の軸となっていたのは、BCPの考え方です。
感染症や災害は、いつ起きるかわからないものです。
そして一度起きてしまえば、訪問看護の現場は大きな影響を受けます。
特に在宅では、サービスが止まることはそのまま
- 利用者の生活の停止
- 生命へのリスク
につながります。
そのため、
「想定外をできる限りなくすこと」
が、事業所として求められている重要な役割です。
BCPは「作るもの」ではなく「使い続けるもの」
制度面でも、BCPの重要性は年々高まっています。
2024年の制度改定によりBCPは義務化され、
2025年以降は未整備の場合、減算対象となる仕組みになっています。
ただし今回の研修で繰り返し強調されていたのは、
「制度対応としてのBCP」ではありません。
現場の感覚としてはむしろ、
「作って終わりではなく、常に見直していくもの」
という認識です。
実際に、
- 委員会の開催頻度の見直し
- マニュアルへの食中毒予防の追加
- コロナ対応フェーズの調整
など、運用の中で改善が積み重ねられてきています。

現場でのリアルな感染対策 ― PPE訓練から見えたこと
今回の研修では、2025年度に実施された訓練の振り返りも共有されました。
テーマは、
「感染疑い利用者への訪問時、実際にどう動くか」。
議論された内容は非常に実践的です。
たとえば、PPE(個人防護具)一つとっても、
- どこで着るのか(玄関外か、状況により玄関内か)
- どこまで物品を持ち込むか
- iPadを持参するかどうか
- 脱いだ防護具をどう処理するか
など、現場で判断が分かれるポイントが数多くあります。
その中で共通していたのは、
「正解を一つに決めるよりも、現場で考え続けることが重要」
という姿勢でした。

「やってみて初めてわかる」ことが多い
特に印象的だったのは、実際にPPEを着脱した際の気づきです。
普段、感染症のケースに頻繁に関わるわけではないからこそ、
- 手順を忘れてしまっている
- 脱ぐときの消毒の重要性を実感する
- 手袋の使い方一つでリスクが変わる
といった声が多く上がりました。
「1手技1消毒が基本」
という原則も、
頭で理解しているのと、実際にやるのとでは大きく違います。
だからこそ、
「定期的に訓練を繰り返す必要がある」
という認識が、現場全体で共有されました。
感染対策は「技術」だけではない
もう一つ重要な視点として挙げられていたのが、
「スタッフ自身が感染しにくい状態であること」
です。
感染経路を断つことだけでなく、
- 日々の体調管理
- 無理をしない判断
- 早めの報告
といった行動も、感染対策の一部です。
これは在宅ならではの特徴でもあります。
一人で訪問する時間が長いからこそ、
「自分の状態をどう管理するか」が重要になります。
平時の備えが、いざという時の差になる
BCPの中でも特に強調されていたのが、「平時の準備」です。
- 職員連絡網の整備
- トリアージ(優先度判断)の整理
- 物品の在庫管理
- 記録の整備
こうした準備は、普段は意識されにくいものですが、
「何も起きていないときにどれだけ整えられているか」
が、実際の対応力を大きく左右します。
記録することも“業務”の一部
もう一点、実務として重要なポイントがありました。
それは、
「研修や訓練は、実施だけでなく記録が必須」
ということです。
日時・内容・参加者を記録として残さなければ、
監査上は「実施していない」と同じ扱いになります。
現場としては当然やっていることでも、
“残す”ことまで含めて業務である、という認識が必要です。
感染症だけではない ― 夏に向けたもう一つのリスク
今回の研修では、最後に熱中症対策についても共有されました。
訪問看護の現場では、
- クーラーが使えない環境
- 入浴介助の連続
- 自転車・徒歩移動
など、熱中症のリスクが非常に高い状況があります。
その中で強調されていたのは、
「自分は大丈夫という思い込みが一番危険」
ということです。
- 訪問前の体調確認
- こまめな水分補給
- 異変を感じたら早めに中断
こうした基本を徹底することが、結果的に
利用者の安全を守ることにもつながるとされています。

現場を守るために、学び続ける
今回の感染症研修は、
- 制度の理解
- 現場の実践
- 個人の行動
これらがすべてつながっていることを再認識する機会となりました。
感染症対策は、特別な場面だけのものではありません。
日々の訪問の中で積み重ねられていくものです。
楓の風では、こうした研修と訓練を通じて、
「現場で本当に使える知識と判断力」を育てていきます。
