楓の風の研修|診療報酬改定の勉強会

2026.05.30


診療報酬改定研修を実施しました

― 制度改定を、よりよい訪問看護につなげるために ―

先日、2026年度診療報酬改定に関する研修会を実施しました。

今回の研修では、厚生労働省から示された内容をもとに、訪問看護に関わる改定内容と、楓の風として現場で対応していくポイントについて共有しました。

診療報酬改定というと、どうしても「料金」や「請求」の話として受け止められがちです。

もちろん、算定要件や書類の整備はとても重要です。
しかし今回の研修で改めて感じたのは、制度改定の根底には、質の高い訪問看護をどう届けていくかという大きなテーマがあるということでした。


今回の改定の大きな方向性

今回の改定では、訪問看護に関して、

  • 利用者のニーズへの対応
  • 適正な訪問看護の提供体制
  • 同一建物居住者への評価の見直し
  • 物価上昇への対応

などが主な軸として示されました。

制度の内容を正しく理解することは、単に請求を間違えないためだけではありません。

利用者様に必要な看護を、適切な形で届け続けるための土台になります。


服薬・残薬状況の確認が明確化されました

今回の研修で最初に共有されたのは、服薬・残薬状況の確認についてです。

楓の風では、すでに多くの利用者様に対して日常的に確認している内容ではありますが、今回、運営基準上の必須事項として明確化されました。

確認した服薬・残薬状況は、主治医へ情報提供すること。
また、利用者様の同意を得たうえで、薬局などにも情報提供することが望ましいとされています。

日々の訪問の中で、薬がきちんと飲めているか、残薬が増えていないかを確認することは、利用者様の安全を守るうえでとても重要です。

そして、その確認内容を、

  • 訪問看護計画書
  • 報告書
  • 看護記録

に残していくことが、これまで以上に大切になります。


訪問時間と記録の正確性

今回の研修では、訪問時間の記録についても確認がありました。

やむを得ず訪問看護が30分を下回る場合には、その理由を記録に残すこと。
また、実際に看護を実施した時間を記録することが求められます。

特に印象的だったのは、看取りの場面や長時間訪問看護加算に関する説明です。

看取りの場面では、死亡診断前にどのような看護を行ったのか。
エンゼルケアの時間は医療保険の適用時間ではなく、自費での時間になること。
長時間訪問看護加算では、90分を超える訪問に対して算定するため、実際の介入時間を正確に記録する必要があること。

こうした内容は、請求のためだけではなく、
自分たちがどのような看護を提供したのかを、第三者にも伝わる形で残すという意味があります。

記録は、看護の証拠であり、利用者様を支える過程そのものでもあります。


訪問看護計画も「作って終わり」ではない

訪問看護計画についても、重要な確認がありました。

定期訪問を漫然と続けるのではなく、実施した内容に対する評価を記録し、必要に応じて目標や計画を見直していくことが求められています。

これは、以前の所長会議で話し合った「訪問看護計画書」の考え方ともつながります。

計画は、作成して終わりではありません。

利用者様の状態や生活は変化します。
その変化に合わせて、目標や関わり方も見直していく必要があります。

訪問看護計画は、利用者様の生活を一緒に支えていくためのもの。
だからこそ、評価と見直しを重ねていくことが大切です。


料金・加算に関する変更

研修では、各種料金や加算の見直しについても説明がありました。

主な内容として、

  • ベースアップ評価料の変更
  • 訪問看護物価対応療養費の新設
  • 訪問看護管理療養費の見直し
  • 同一建物評価の細分化
  • 訪問看護医療情報連携加算の新設
  • 遠隔診療補助に関する取り扱い

などが共有されました。

たとえば、物価上昇に対応するために新設された加算や、同一建物の考え方の細分化などは、請求事務だけでなく、現場での情報共有や設定にも関わる内容です。


ICT連携や遠隔診療補助への対応

今回の改定では、ICTを活用した連携に関する内容も含まれています。

訪問看護医療情報連携加算については、利用者様の同意を得たうえで、連携医療機関とICTを用いて計画的な管理を行った場合に算定できるものです。

ただし、算定には要件があり、事前の届け出も必要です。
また、医療機関側で特定の加算を算定している場合、訪問看護側では請求できない場合があるため注意が必要です。

遠隔診療補助についても、医師の指示のもと、ICT機器を用いて訪問看護師が遠隔で診療補助を行う場合の取り扱いが説明されました。

こちらも算定要件や制限があるため、医療機関から連携の打診があった場合には、本部へ共有することが確認されました。


「適正な訪問看護」が、質の高い訪問看護につながる

今回の研修で何度も出てきた言葉が、適正な訪問看護です。

適正な訪問看護とは、単にルールを守ることだけではありません。

必要な看護を、必要な時間、必要な形で届けること。
その内容を正しく記録し、計画や評価につなげていくこと。
利用者様やご家族に、安心してサービスを受けていただけるよう説明責任を果たすこと。

その積み重ねが、質の高い訪問看護につながります。

「訪問看護を使ってよかった」
「楓の風を利用してよかった」

そう感じていただける在宅療養を支えるために、制度改定への対応も、現場の看護の質を高める取り組みの一つとして大切にしていきます。