楓の風の研修|「がん性疼痛の薬物療法」緩和ケア研修

2026.02.14


がん性疼痛の薬物療法

楓の風では、月次研修の一環として、がん性疼痛看護認定看護師による緩和ケア研修を実施しています。まずはこのような研修を、社内で、かつ、在宅支援の第一線で活躍するスタッフさんが率先して実施してくれていることに、感謝をしたいと思います。

忙しい訪問の合間を縫って、楓の風の質の向上のため惜しみなくそのスキルや知識をシェアしてくれることに頭が下がります。

さて、今回のテーマは、「がん性疼痛の薬物療法」
がん性疼痛に対する基本的な考え方から、アセスメントの視点、鎮痛薬の使い分け、副作用への対応まで、日々の訪問看護に直結する内容を学びました。

在宅では、痛みの訴えを「数値」だけで捉えるのではなく、生活の中でどう困っているか、ご本人やご家族がどのように受け止めているかまで含めて支援することが求められます。
今回の研修は、改めてその大切さを確認する機会となりました。


痛みは「身体症状」だけではない

研修ではまず、痛みを身体の症状としてだけ見るのではなく、気持ち・生活・人間関係・将来への不安などを含めて捉える視点の重要性が共有されました。

がんの患者様の痛みには、病状そのものによる苦痛だけでなく、

  • 病気の進行への不安
  • ご家族への心配
  • 生活や仕事への影響
  • 「この先どうなるのか」という見通しの持ちにくさ

といった背景が重なっていることがあります。

そのため、痛みの緩和を考えるときには、薬剤調整だけでなく、
**「その方が今、何に一番困っているか」**を丁寧に聴くことが大切であることを学びました。


がん性疼痛のアセスメントで大切なポイント

今回の研修では、現場ですぐに活かせるアセスメントの視点が具体的に整理されていました。

1. 痛みの場所・タイミング・変化を確認する

  • どこが痛いのか
  • いつ痛むのか
  • どんな時に強くなるか/和らぐか
  • 前回と比べてどう変化しているか

高齢の患者様では、がん性疼痛以外の慢性的な痛み(腰痛・関節痛など)が混在していることも少なくありません。
「どの痛みの話をしているのか」を丁寧に整理することの重要性が共有されました。

2. 痛みの“質”を言葉で捉える

「ズキズキする」「重い感じ」「締めつけられる」「ビリビリする」など、痛みの表現はアセスメントの大事な手がかりになります。

ご本人がうまく言葉にしにくい場合は、看護師側から表現の候補を提示しながら確認することで、痛みの種類の推定につながります。

3. 痛みの強さは“比較”でみる

痛みのスケール評価は大切ですが、毎回数値だけで判断するのではなく、
**「前回より強いか/弱いか」**という変化を追う視点も実践的であることが共有されました。

4. レスキュー薬の使用状況を確認する

  • 何回使ったか
  • 効いたかどうか
  • どれくらいで効いてきたか

レスキュー薬の使用状況は、疼痛コントロールの状態を把握するうえで重要な情報です。
在宅では、ご本人・ご家族の使い方の理解度も含めて確認する必要があります。


痛みの種類を理解すると、ケアの精度が上がる

研修では、がん性疼痛を考えるうえでの基本として、痛みの種類(体性痛・内臓痛・神経障害性疼痛)についても整理されました。

  • 体性痛:骨・筋肉・皮膚などに由来し、部位が比較的はっきりしている痛み
  • 内臓痛:重苦しい、締めつけられるような痛みで、部位がはっきりしにくいことがある
  • 神経障害性疼痛:ビリビリ、電気が走るような痛み

患者様の言葉をそのまま受け取るだけでなく、
痛みの表現から病態をイメージする力が、適切な支援につながることを改めて学びました。


薬物療法で学んだこと

〜「薬を知る」だけでなく「使われ方をみる」〜

今回のテーマである薬物療法では、NSAIDs、アセトアミノフェン、オピオイド、鎮痛補助薬など、がん性疼痛の緩和に用いられる薬剤について学びました。

印象的だったのは、薬剤の特徴を知るだけでなく、ご本人の状態や既往歴、副作用、生活場面まで含めて考えることの大切さです。

NSAIDs・アセトアミノフェン

比較的なじみのある鎮痛薬でも、腎機能・肝機能・心不全などの状態によって注意が必要です。
「使いやすい薬」ほど、漫然と使用せず、状態変化を丁寧に見る視点が求められます。

鎮痛補助薬

神経障害性疼痛に対しては、抗うつ薬や抗けいれん薬などが用いられることがあります。
処方内容を見たときに、疾患名だけでなく「疼痛緩和の目的で使われている可能性」を考えることも、訪問看護では大切な視点です。

オピオイド

オピオイドは、がん性疼痛の緩和において重要な薬剤です。
一方で、効果だけでなく、

  • 便秘
  • 悪心・嘔吐
  • 眠気
  • 呼吸状態

などの副作用観察をセットで行うことが必要です。

また、速効性製剤などは使用方法の理解が安全性に直結するため、退院後の在宅療養では特に、ご本人・ご家族が実際に使い方を理解できているかの確認が重要であることを学びました。


在宅で大切なのは「痛み」と「暮らし」を一緒にみること

今回の研修を通して改めて感じたのは、がん性疼痛の緩和は、薬だけで完結するものではないということです。

在宅では、痛みの程度だけでなく、

  • 食事がとれているか
  • 眠れているか
  • 移動できるか
  • 不安なく過ごせているか
  • ご家族が対応に困っていないか

といった「暮らし」の視点をあわせて見ることができます。

だからこそ、訪問看護師には、薬物療法の知識に加えて、
生活全体の変化を捉え、必要な支援につなぐ力が求められることを、今回の研修で改めて確認できました。


研修を通して

楓の風では、在宅ホスピス・ケアを支える看護の質を高めるために、専門的な学びの機会を継続しています。

今回の「がん性疼痛の薬物療法」の研修でも、日々の訪問の中で見落としやすい視点を整理し直し、明日からの実践につながる学びを得ることができました。

これからも楓の風は、研修を通じて看護の専門性を磨き、
ご利用者様・ご家族がその人らしく過ごせる在宅療養生活を支えてまいります。