月次研修|災害対策研修


災害対策研修を実施しました

― いざという時に、利用者様と自分自身を守るために ―

先日、月次研修として災害対策研修を実施しました。

今回の研修では、災害対策マニュアルとBCPの確認に加え、首都直下型地震を想定したシミュレーション訓練を行いました。

訪問看護の現場では、スタッフが利用者様のご自宅へ一人で訪問している時間も多くあります。
そのため、災害が発生した時に「事業所にいる」とは限りません。

車で移動中かもしれない。
利用者様のご自宅にいるかもしれない。
事業所から離れた地域にいるかもしれない。

今回の研修は、そうした訪問看護ならではの状況を前提に、災害時に自分がどのように行動するかを具体的に考える時間となりました。


まず確認したのは、マニュアルと記録の保管場所

研修の前半では、災害対策マニュアルやBCPがどこに保管されているかを改めて確認しました。

また、研修を実施した際には、研修記録を残すことも重要です。

災害対策は、研修を受けて終わりではありません。
いつ、誰が、どのような内容を学んだのかを記録し、事業所として継続的に確認できる形にしておくことが求められます。

こうした基本的な整備が、いざという時の行動につながっていきます。


17時10分、訪問後の車内で地震が起きたら

今回のシミュレーションでは、次のような場面を想定しました。

2026年2月、17時10分。
最後の訪問を終え、車で事業所へ戻る途中。
都心南部直下を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生した。

冬の夕方で、周囲は薄暗くなり始めている時間帯です。
訪問を終えた安心感の中で突然大きな揺れに遭遇したら、自分はどう動くのか。

研修では、内閣府の映像も視聴しながら、実際の場面を想像して考えました。


まず守るべきは、自分の安全

車を運転中に地震が起きた場合、まず大切なのは、慌てて急ブレーキを踏まないことです。

ハザードランプを点灯し、周囲に注意しながらゆっくり停車する。
交差点、橋、トンネル、高架下などをできるだけ避け、安全な場所に車を寄せる。
揺れが収まるまでは、慌てて外に出ず、車内で待機する。

その後、ラジオやスマートフォンで情報を確認し、周囲の安全を見極めます。

建物の倒壊、電柱の傾き、ガラスの飛散、道路の亀裂、川や橋の状況、山間部であれば土砂崩れの可能性。
沿岸部では、津波の情報も確認する必要があります。

訪問看護スタッフは、利用者様を支える立場です。
だからこそ、まず自分自身の安全を確保することが、結果として利用者様を守ることにつながります。


地域によって、想定すべきリスクは違う

楓の風の事業所は、都市部、沿岸部、山間部に近い地域など、広い範囲にあります。

そのため、災害時に想定すべきリスクも一律ではありません。

ある地域では、川や橋、陸橋が多く、車をどこに停めるかが重要になります。
沿岸部では、地震の後に津波のリスクを確認する必要があります。
山間部に近い訪問エリアでは、土砂崩れや道路寸断も想定しなければなりません。

今回のグループワークでも、事業所ごとに異なる視点が出されました。

「自分たちの地域では何が起こり得るのか」
「訪問先の近くに安全に避難できる場所はあるのか」
「車が動かせなくなった時、どうするのか」

こうした問いを、普段から事業所内で話し合っておくことの大切さを感じました。


事業所との連絡、利用者様への対応をどう考えるか

地震発生後は、事業所との連絡方法も課題になります。

携帯電話がつながりにくくなる可能性があります。
メールやチャット、安否確認システム、災害用伝言ダイヤルなど、複数の連絡手段を想定しておく必要があります。

また、利用者様への対応も重要です。

誰に優先して連絡するのか。
誰の安否確認を急ぐ必要があるのか。
訪問を継続できるのか。
事業所へ戻るべきか、自宅や避難所へ向かうべきか。

これらは、その場で一から考えるには難しい判断です。

だからこそ、平時からトリアージ表や連絡先を整備し、緊急時の判断材料を準備しておくことが必要になります。


車を置いて避難する時の行動

道路状況によっては、車で移動できなくなることもあります。

その場合は、車を安全な場所に停めたうえで、必要な対応を行います。

車検証などの貴重品を持ち出す。
車は施錠せず、鍵を車内に残す。
連絡先を書いたメモを車内に残す。

これは、緊急車両の通行や車両移動が必要になる可能性を踏まえた行動です。

普段はなかなか考える機会がありませんが、いざという時に知っているかどうかで行動は大きく変わります。


訪問中に地震が起きたら

今回の研修では、車移動中だけでなく、訪問先で地震が起きた場合についても触れました。

利用者様のご自宅は、必ずしも耐震対策が十分とは限りません。
家具が固定されていないこともありますし、物が多い環境もあります。

その中でまず必要なのは、身を低くし、頭や首を守ることです。

頑丈な机の下に入る。
難しければ、ベッドやソファなど大きく倒れにくい家具のそばで、頭を守りながら姿勢を低くする。
落下物や倒れてくる家具から身を守る動きを取る。

利用者様を守るためにも、まず自分が動ける状態でいる必要があります。


もし閉じ込められたら

建物の倒壊などで閉じ込められた場合についても確認しました。

大声を出し続けると、体力や酸素を消耗してしまいます。
近くの配管や壁を叩いて、自分の位置を知らせる。
スマートフォンのバッテリーは節約し、必要な時に使う。
救助が来るまで、できることを冷静に続ける。

実際の場面で落ち着いて行動することは簡単ではありません。

それでも、事前に知っていることで、選べる行動は増えます。


地震の後に起こる火災にも備える

首都直下型地震では、揺れそのものだけでなく、その後の火災も大きなリスクになります。

木造住宅が密集した地域では、同時多発的に火災が発生する可能性があります。
道路が狭い地域では、消防車が入りにくく、延焼が広がるおそれもあります。

そのため、大規模火災が発生した場合には、広域避難場所へ逃げることが基本になります。

自分たちの訪問エリアの中で、どこが広域避難場所なのか。
利用者様のご自宅周辺では、どの方向へ避難するのがよいのか。

こうしたことも、日頃から確認しておく必要があります。


災害は、いつ起こるかわからない

今回の研修を通して改めて感じたのは、災害対策は特別な日のためだけのものではないということです。

日々の訪問ルートを知っていること。
地域の地形や避難場所を把握していること。
車内に最低限の備えを置いておくこと。
事業所内で、災害時の動きを話し合っておくこと。
研修記録を残し、次に活かせる形にしておくこと。

その一つひとつが、災害時の行動につながります。

訪問看護は、地域の中で利用者様の生活を支える仕事です。

だからこそ、災害時にも自分たちがどう動くのかを考え続けることは、利用者様とご家族の安心につながります。

楓の風では、これからも研修や訓練を通して、災害時にも地域の在宅療養を支えられる体制づくりを進めていきます。

参考リンク:南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害と対策に係る映像資料 : 防災情報のページ – 内閣府
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankai_syuto.html